ロボット手術
2025年4月からロボット支援手術を導入します。
ロボット支援手術は1980年代に始まり2000年頃から本格的に普及し始めました。現在では、AIの活用や遠隔手術の発展により、さらに安全で高度なロボット支援手術が実現すると期待されています。
当院でも、患者様にとってより安全で正確な手術が実現ができるように手術支援ロボット「Saroa(サロア)」の導入を決めました。
ロボット支援手術とは
ロボット支援手術とは、ロボットが自動的に手術を行うわけではなく、医師がロボットを操作して行う手術方法で、医師は座った状態で手元の「操作装置(コンソール)」を使い、ロボットアームを動かして手術を行います。
ロボットアームは、人間の手よりも細かい動作が可能で、手ブレ補正機能により安定した操作を実現します。 特に細かい血管や神経を扱う手術で高い効果を発揮するといわれています。よって、人の手で行う従来の腹腔鏡下手術に加え、より精緻で複雑な手術が可能になりました。
手術支援ロボット「Saroa(サロア)」とは
鉗子に加わる力覚を推定
従来の手術支援ロボットは、カメラ映像から得られる視覚情報のみに依存していましたが、サロアは鉗子が握る力(把持力)を制御情報から推定し、遠隔操作インターフェースにフィードバックするシステムを搭載しています。 世界で初めて「力覚」を再現することに成功した、低侵襲外科手術支援ロボットです。
空気圧制御による柔軟かつ繊細な駆動により、力覚を直接感じることが出来るため、遠隔操作でありながら実際に自分の指で手術を行っているのとほぼ同等の感覚で施術を行うことが可能です。
ナビゲーションモニタによる情報提示
サロアのサージョンコンソール(写真左)には、内視鏡の映像を映すメインモニタの他に、様々な操作情報を表示するナビゲーションモニタ(写真右)が設置されています。
力覚の情報は定量数値(ニュートン値)およびバーグラフによる視覚情報としても表示されますので、執刀医以外の医師や看護師などにも操作情報を提供することができます。
サージョンコンソール ナビゲーションモニタ
期待できるメリット
手術中の出血量がより少ない
開腹手術や従来の内視鏡下外科手術では、思わぬ出血に備えて自己血貯血が必要なケースがありました。しかし、ロボット支援下手術では出血量を抑えることができ、自己血貯血を行うことは、基本的になくなりました。
手術器具の先端は多関節で自由に動かすことができ、手ブレを抑える機能も備わっているので細かな血管を繊細に処理して、出血量をより少なくすることができます。
傷跡が目立ちにくい
開腹手術では大きな切開創ができることで、患者さまのメンタルに影響を及ぼすことがありました。しかし、ロボット支援下手術では内視鏡下外科手術と同様に小さな穴を複数あけて行うため、心の負担の軽減につながります。
また、傷口が小さくなると術後の痛みの軽減、早期回復が期待されます。
根治性の向上
開腹手術や従来の内視鏡下外科手術と比較すると合併症のリスクが少ない特徴があります。傷が小さいことから細菌感染を起こすことは少なく、術後は早くに体を動かせることから血栓ができにくいとも言われています。また、執刀医自身でカメラを動かして視野を調整できるため、細かい神経や血管まで捉えてより精緻な手術が行え、根治性の向上につながるでしょう。
正確性の向上
従来の手術では、術者は長時間患者様のサイドに位置し、不自然な体勢で立位保持を強要されるのに対し、ロボット手術では座位かつ離れて操作をすることが可能となった。人間工学的に術者の肉体的負担や精神的疲労度が著しく軽減され、手術の正確性の向上につながるでしょう。
ロボット支援下手術対象疾患
- 大腸がん(結腸)
- 大腸がん(直腸)
※一定の基準を満たした場合に保険適用となりますが、詳しくは主治医の判断になります。
【大腸がん(結腸・直腸)とは】
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。日本人ではS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
大腸の粘膜に発生した大腸がんは次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がり腹腔内に散らばる腹膜播種を起こします。また、大腸の壁の中を流れるリンパ液に乗ってリンパ節転移をしたり、血液の流れに乗って肝臓、肺など別の臓器に遠隔転移したりします。大腸がんの転移が、肺や肝臓の腫瘤として先に発見されることもあります。

担当医師の紹介
ロボット手術は、熟練した技術を持つ手術経験豊富な医師のみが行います。さらには、専門的なトレーニングを積んで認定ライセンスを取得しており、トラブルが起きた時にも対応できるようつとめています。
小高 雅人 生本 太郎